INTERVIEW 企業会計基準委員会 川西安喜委員長 基準開発の現状と展望
<編集部より>
4月1日、企業会計基準委員会(ASBJ)の新委員長に川西安喜氏が就任した。川西氏は長年にわたって国内外の会計基準の開発に貢献をしてきた。
本誌はこのほど、川西氏にインタビューを実施し、就任にあたっての抱負、リースをはじめとする国内の会計基準の開発や国際的な会計基準の開発への対応、そして、国際サステナビリティ開示基準の現状について話をきいた。(インタビューは4月28日に実施した。)
1 ご就任にあたっての抱負
――ご就任にあたっての抱負をお聞かせください。
昨年11月に小賀坂前委員長が急逝され、当時副委員長を務めていた私が委員長に就任することになりました。小賀坂前委員長と進めてきた路線を大きく変更することは考えていません。
一方で、ASBJは昨年設立20周年を迎え、近年は業務が硬直化してきてしまったところもあり、本当に今のやり方で良いのか、10年、20年先のASBJのあり方も考えながら点検していこうと、小賀坂前委員長とも話をしていました。また、最近ではサステナビリティの話が出てくるなど、我々を取り巻く環境が目まぐるしく変わっており、その変化に適時に対応していくことも必要であると考えています。したがって、変わるところはあると思います。
2 日本の会計基準の開発
――リース会計基準の開発状況を教えてください。
リースは、IFRSも米国会計基準も従来オペレーティングリースと呼んでいたものをオンバランスすることになりました。日本でも国際的に整合性のある会計基準を開発するための取組みとして、すべてのリースについて資産と負債をオンバランスする方向で審議を進めています。
この改正で影響が大きいと考えられるのは不動産取引です。したがって、不動産取引に関係する企業、監査人、アナリストなど、それぞれの立場からの意見を聞きながら丁寧に議論しています。
――収益認識会計基準はIFRSを基本的にすべて取り込みました。リース会計基準はどのような方針ですか。
リース会計基準の場合は、IFRS第16号「リース」の文言をすべて採り入れるのではなく、簡素で利便性が高い基準とする方針で進めています。しかし、「簡素で利便性が高い」という考え方には、色々な解釈が出てきているように思います。
当初、事務局では、基準に詳細に書き込まずに、IFRS第16号を適用しても、...
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