Q&Aコーナー 気になる論点(318) アジェンダ協議へのフィードバック(1)

‐FASBの状況‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 米国財務会計基準審議会(FASB)が2022年6月29日に公表した「2021アジェンダ協議レポート」では、どのようなテクニカルアジェンダが見直されたのでしょうか。

2021アジェンダ協議レポートでは、「デジタル資産の会計処理と開示」「環境クレジットプログラムの会計処理」「ソフトウェアコストの会計処理と開示」をテクニカルアジェンダに追加したとしています。他方、「識別可能な無形資産とのれんの事後の会計処理」「資産の取得と企業結合の会計処理の改善」「リースの条件変更」の3項目については、2022年6月に、優先順位を下げ、テクニカルアジェンダから削除したとしています。

〈解説〉

2021アジェンダ協議の経緯

2021アジェンダ協議レポートにおいて、FASBの使命は、財務会計及び報告の基準を確立し改善して、投資家など財務報告利用者に有用な情報を提供し、いかに当該基準を最も効果的に理解し実行するかについて関係者を教育することとしています(3頁)。

2020年12月、FASB議長は、FASBがアジェンダ協議プロセスを実施すると発表し、FASBスタッフは、当該プロセスを開始するために、多くの関係者グループ...