四半期開示の見直しについて

四半期開示情報の信頼性の確保の観点から

 公認会計士 小倉加奈子

( 12頁)

「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(以下「令和4年DWG報告」という。)が、本年6月に公表され、四半期開示については、四半期決算短信に「一本化」するという方向性が示された。「一本化」の具体化に向けた検討については今後議論が行われるものと承知しているが、監査や四半期レビュー業務に従事する公認会計士の立場から、上場企業が開示する四半期財務情報に対する信頼性を確保するためにはどのような見直しが望まれるかについて考察した。

なお、本稿にわたる意見は筆者の私見であり、所属する法人や団体の意見ではないことにご留意いただきたい。

(要旨)・ 四半期レビューは、財務諸表監査と比較して、実施すべき手続を限定的なものとすることでコストの軽減や適時性の要請に対応しつつ、四半期財務諸表の信頼性を一定程度高めることを可能とする業務である。四半期レビューは、これまで、資本市場に対する信頼性を確保する観点から重要な役割を果たしてきた。・ 第1・第3四半期開示を四半期決算短信に一本化する場合、四半期財務諸表の開示を要求したうえで(注:現在は添付資料として記載が要請されている)、四半期財務諸表に対して...