監査事務所検査における最近の指摘事例について

~「監査事務所検査結果事例集(令和4事務年度版)」のポイント~

公認会計士・監査審査会事務局 審査検査課長 八木原 栄二

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はじめに

公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)は、平成16年4月の発足以降、公益の確保及び投資者保護の観点から、我が国における監査の品質の確保・向上のために監査事務所(監査法人又は公認会計士)に対する検査を実施してきた。

審査会検査における指摘事例や評価できる取組については、審査会としての監査の期待水準を提示し、監査事務所による監査の品質の確保・向上に向けた自主的な取組を促すとともに、上場会社等の取締役・監査役等や投資者等の市場関係者に対する参考情報を提供することを目的に、「監査事務所検査結果事例集」として年次で取りまとめ、公表している。

去る7月15日に公表した令和4事務年度版の監査事務所検査結果事例集(以下「本事例集」という。)では、最近の指摘事例に入れ替えるとともに、令和3年3月期決算に係る財務諸表監査から、上場会社等の監査報告書への記載が求められることとなった「監査上の主要な検討事項(KAM)」の項目等を追加しているほか、特に中小規模監査事務所における改善に資するよう評価できる取組の事例を充実している。

なお、審査会のモニタリング活動を通じて入手した情報は、「令和4年版モニ...