IFRSをめぐる動向 第147回 「基本財務諸表」プロジェクトの最近の動向(2022年3月~2022年9月IASB会議での再審議)

PwCあらた有限責任監査法人 米国公認会計士 古河友紀

( 38頁)

Ⅰ.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は、公開草案「全般的な表示及び開示」に対するフィードバックを受けて再審議が行われている「基本財務諸表」プロジェクトについて、2022年3月から2022年9月までに開催されたIASB会議における審議の内容を中心に説明します。それ以前の審議の内容は、本連載の第131回( No.3498 )、第133回( No.3516 )、第137回( No.3532 )および第141回( No.3548 )の解説をご参照ください。なお、本稿の内容は今後のIASBの討議状況によって変更される可能性があり、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

Ⅱ.主な論点と再審議の状況

【図表1】は、2022年9月のIASB会議のアジェンダペーパーで示されたプロジェクトの状況です。特定の主要な事業活動を行う企業(金融企業)における分類、損益計算書の投資区分、経営者業績指標(MPM)の調整表の開示、通例でない収益・費用、ならびに営業費用の開示などについての再...