就任インタビュー 久保利 英明 日本ガバナンス研究学会会長 内部統制報告制度の見直しと企業不祥事防止の要諦
<編集部より>
学会名称を「日本内部統制研究学会」から「日本ガバナンス研究学会」に変更したのを機に、11月5日、弁護士の久保利英明氏が同会の会長に就任した。「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員長としての顔も持つ久保利新会長に、会長就任の抱負のほか、現在、金融庁の企業会計審議会・内部統制部会で検討が進む内部統制報告制度の見直しや、企業不祥事防止の要諦などについても聞いた。 |
1.会長就任にあたっての抱負
――会長就任にあたっての抱負をお聞かせください。
<日本内部統制研究学会との関わり>
私は弁護士として当会の創設者である川北博先生とお付き合いがあり、そのご縁から2007年設立時に発起人の一人に就任し、それ以後、一会員として末席に連なってきました。
この度、当会が「日本内部統制研究学会」から「日本ガバナンス研究学会」に名称変更するのを機に、思いがけず、その運営を担う第6代会長を拝命することとなりました。
真に光栄なことと存じます。会員、役員などの執行部の方々と共に、日本ガバナンス研究学会の発展に貢献できるよう微力ながらも全力を尽くす所存です。
<弁護士としての内部統制、ガバナンスとの関わり>
私は会計の専門家でも、内部統制の研究者でもありません。1971年に倒産弁護士として森綜合法律事務所に入所し、公認会計士の先生に教えを請いながら、会計不正が絡む数多くの大型倒産事件に関与しました。その後、会社法を専門とする弁護士として株主総会、取締役会の改革に取り組んできました。東大の専修コースの非常勤講師やロースクールの教授の経験があるとは言え、研究者ではなく、一介の実務家にすぎません。
「コーポレートガバナンス」とは何かすら、その定義も意義もはっきりしなかった1994年頃から、私は、企業不祥事に取り組む弁護士として「コーポレートガバナンス・フォーラム」をオリックスの宮内義彦氏や日本興業銀行の中村金夫氏らと立ち上げ、以後28年にわたり、会社と非営利組織のガバナンス研究および独立社外取締役として実践活動をしてきました。
2001年以来、総会屋への利益供与にまみれた野村證券の社外取締役をはじめとして日本取引所自主規制法人の社外理事や日本取引所グループの独立社外取締役を約20年間にわたって勤めてきました。
近年、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コー...
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