Q&Aコーナー 気になる論点(326) FASBの概念フレームワーク案

‐報告企業‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 米国財務会計基準審議会(FASB)が、2022年10月18日に公表した財務会計概念書(SFAC)第8号の公開草案「財務報告のための概念フレームワーク:第2章 報告企業」(SFAC第8号第2章改正案)では、報告企業の定義について、国際会計基準審議会(IASB)が2018年3月に改正した「財務報告に関する概念フレームワーク」(IASB概念フレームワーク)とは異なる提案をしています(本誌 No.3577 (2022年10月24日号)ミニファイル参照)。これは、なぜでしょうか。

報告企業の定義について、SFAC第8号第2章改正案は、FASBとIASBが共同で、2010年3月に公表した公開草案「財務報告に関する概念フレームワーク―報告企業」(2010年公開草案)の概要を踏襲したものとなっています。これに対し、IASB概念フレームワークでは、2010年公開草案よりも具体化させています。したがって、SFAC第8号第2章改正案は、これとは異なる提案となっています。

〈解説〉

経緯

FASBは、IASBとの共同プロジェクトにより、SFAC第1号「営利企業の財務報告の目的」とSFAC第2号「会計情報の質的特性」...