新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第8回 市場価格のない株式等に関する基準の改正と減損処理における実務上の留意点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 山本 相尚

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金融商品の時価に関するガイダンス及び開示に関して、国際的な会計基準との整合性を図るべく、企業会計基準第30号「 時価の算定に関する会計基準 」及び企業会計基準適用指針第31号「 時価の算定に関する会計基準の適用指針 」が2019年7月4日に公表され、2021年4月1日以後開始する事業年度の期首から原則適用されています。また、これに伴い、改正企業会計基準第10号「 金融商品に関する会計基準 」も適用されています。

本稿では、市場価格のない株式等について、当該基準の改正内容と、減損の会計処理における実務上の留意事項に焦点を当てて、Q&A形式で分かり易く解説します。

なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q

市場価格のない株式等について、企業会計基準第10号「 金融商品に関する会計基準 」(以下「金融商品会計基準」という。)の改正のポイントと、その減損の会計処理及び開示上の留意事項を教えてください。

A

改正後の金融商品会計基準においては、「時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券」の定めは削除され、「市場価格のない株式...