Q&Aコーナー 気になる論点(331) 国際的な税制改革と税効果

‐IAS第12号「法人所得税」の改正案‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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国際会計基準審議会(IASB)は2023年1月9日に、IAS第12号「法人所得税」を改正する公開草案「国際的な税制改革―第2の柱モデルルール」(IAS第12号改正案)を公表しています(コメント期限:2023年3月10日)。これは、何が問題とされているために提案されているのでしょうか。

いくつかの法域では、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルール(グローバル・ミニマム課税)を導入するための税法の制定が近いと見込まれるものの、その適用方法は明確ではなく、また対応には時間を要することが問題とされています。このため、IAS第12号改正案は、コスト便益の観点から、IAS第12号の適用について一時的な例外の導入を提案しています。

〈解説〉

経済協力開発機構による国際的な税制改革

OECDは、G20の要請を受け、多国籍企業の活動実態と各国の税制や国際課税ルールとのズレを利用した税源浸食・利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)の問題に対処するため、2012年からプロジェクトを立ち上げ、2013年に15項目のBEPS行動計画を公表し、2015...