会計不祥事の後始末~PFIの実務~<前編>

 公認会計士 河江 健史
 公認会計士 土井 貴達
 公認会計士 石田 有司

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1.PFIとは

会計不祥事の有事対応は、調査報告書のリリースをもって終わりではなく、正常化するまで続き、後始末こそが大変である。

有事対応を流れで示すならば、下図のとおりである。不祥事の発覚から公表までが不正調査の一連の流れであるが、その先の有事から平時への移行の流れが正常化フェーズであり、「Post Fraud Improvement(PFI)」として説明する部分である。

不祥事対応については書籍も多く、その発覚や端緒の把握、初動対応や調査実務、公表に当たっての留意事項については、実務がかなり蓄積されてきているところである。しかしながら、経理部門、法務部門、内部監査部門といった管理部門の担当者であっても、会計不祥事に直面することは何度もないのが一般的であり、「有事対応に精通した」人材と評価されることは稀である。初見の対応ばかりであり、どのように処したらよいのか困ることが通常であるため、不正調査対応や危機管理、危機管理広報といったコンサルタントやアドバイザーへのニーズは高い。不正調査の専門家に対して期待されるのは、初動の段階での類似案件調査も含めた調査範囲策定と、決算等のスケジュールを意識し...