2023年3月期IFRS決算Q&A 第1回 2023年3月期に適用となるIFRS基準

有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 石原 宏司
有限責任監査法人トーマツ 公認会計士 宍戸 純子

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本稿では、IFRS適用企業に2023年3月期の決算において強制適用される基準及び公表済未発効の基準を紹介します。その中で2022年9月に公表された「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」(IFRS第16号の修正)について解説します。また、2023年3月期の決算に影響することが見込まれる、さらに、IFRS基準を適用して作成される財務諸表における気候変動事項の影響についても解説します。文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りします。

Ⅰ IFRS適用企業に2023年3月期に強制適用となる基準及び公表済未発効の基準

Q1 IFRS適用企業に2023年3月期に強制適用となる基準等について教えてください。

2023年3月期に強制適用となるIFRSの基準等は表1のとおりとなります。

【表1】2023年3月期に強制適用となるIFRSの基準等

公表時期基準等主な内容2020年5月「有形固定資産:意図した使用の前の収入」(IAS第16号「有形固定資産」の修正)試運転等、資産を経営者が意図した方法で稼働可能にするために必要な場所及び状態に置く間に生...