新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第9回 譲渡制限付株式の開示

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 兵藤 伸考

( 50頁)

2019年12月に「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号)が成立し、会社法第202条の2により上場会社は取締役等の報酬等として株式の発行等をすること(以下「株式無償交付」という。)ができるようになり、2021年1月28日に企業会計基準委員会(ASBJ)より実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を交付する取引に関する取扱い」(以下「実務対応報告第41号」という。)が公表されています。従来のいわゆる現物出資構成による譲渡制限付株式の交付に加えて、実務対応報告第41号による譲渡制限付株式の交付が可能となりましたが、それぞれのスキームの開示について混同する可能性があることから、それぞれのスキームの開示の相違点を含めて解説します。本稿では、譲渡制限付株式に係る株式無償交付と現物出資構成の開示の相違を解説するものであり、株式報酬に関する会計処理の詳細な解説は、本誌2022年9月19日号(No.3572)の「第3回 リストリクテッド・ストック、パフォーマンス・シェア等、株式報酬の会計処理」をご参照ください。なお、文中意見に係る部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添えます。...