小説 会計士日記 Episode 6
中岡 早雄
( 58頁)
【前回のあらすじ】監査法人勤務時代の同僚3人。1年ぶりに集まった飲み会で昔話に花を咲かせる。 |
店員さんが2杯目のビールを運んできて、空いたグラスを片付けてくれた。
「あの女性の店員さん覚えてる?あの人、俺たちが昼からあまりに飲むから、コースターにメモして20%オフの割引券にしてくれたよね」
「はいはい、そんなのありましたよね」
「昼からいい感じで酔ってた時に話しかけられてさ、『僕らのこと覚えてるんですか?』って聞いたら、『覚えてますよ。お昼にこんなに沢山飲んでくれるお客さんいませんよ』と言われたんだよ。あの時はしょっちゅう来てたからね」
「ほんと、事務勤でやることがない日はよくランチョンに来てましたよね」
「あの店員さん、ビールを全種類飲んだから、気を利かせてメニューに載ってないハーフアンドハーフのビール作ってくれたよね」
「あった、あった。そのせいで飲み過ぎてたよね」
「それは自分のせいですよ。人のせいにしてはいけませんよ」
「確かに、そうだね」
「ほんと、あの頃は楽しかったですね」と髙橋がしみじみと言った。
3人ともビールのグラスがもうすぐ空くのを見て、後藤が手を挙げて店員さんを呼び、「生ビール3つお願...
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