<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第80回 保険とIFRS会計基準(6)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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ニュートンのライバル達

アイザック・ニュートン(1642-1727)は、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見したことで有名である。ニュートンは物理学や自然科学を革新的に発達させた天才であるのは間違いないが、彼の業績は彼1人によるものではない。彼の業績は多くのライバルや友人との切磋琢磨や助け合いによって成し遂げられたものである。たとえば、ニュートンの最大の業績の1つとされる「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」は、ハレー彗星の発見者として知られるエドモンド・ハレー(1656-1742)との会話が動機となって作成されたという。ハレーはプリンキピアの出版に当たっても、校正を引き受け、出版費用まで負担したという。

同時代に活躍したもう1人の天才はクリストファー・レン(1632-1723)である。ほとんど他人を褒めることのなかったニュートンがレンのことを、プリンキピアの中で「もっとも優れた数学者の1人」と称賛している。レンはロンドンのセント・ポール大聖堂の設計者として有名である。ニュートンとハレーとレンは1684年1月にロンドンのコーヒー・ハウスで惑星の軌道について議論をしていたこと...