ハーフタイム インフレーションへの対処法

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トルコやアルゼンチンなどの超インフレ国に子会社をもつ企業や、世界的な金利と割引率上昇で資産価値を減らした企業では、業績への影響がすでに出始めており、長年デフレに慣れ切った個人と企業にとってもインフレへの備えは身近で新たな課題となりつつある。

IAS29号のタイトルは「超インフレ経済下における財務報告」だが、その適用要件は、インフレの兆候を4つと数値基準を1つ示している。すなわち、一般市民が比較的安定した価値をもつと思われる非貨幣性資産に投資するとか外国通貨に換える傾向が顕著になったとき(3項のa&b)、企業が与信期間を短縮するとき(c)、利率や賃上げ率などが物価指数に連動するとき(d)、3年間の累積インフレ率が100%を超えたとき(e)である。

これらはあくまでも例示であるが、インフレが長期間持続するならば、事前に準備するほうが賢明であろう。その場合、英国ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)が昨年12月1日に発した文書は貴重な指針となる。

ICAEWが真っ先に見直しを求める課題は、のれんやその他長期資産の減損懸念、諸引当金の残高不足、繰延税金資産の回収可能性の低下である。関連する個別会計基...