中小監査事務所の監査品質向上への対応

監査品質のマネジメントに関する年次報告書の作成と中小監査事務所の基盤強化への対応

日本公認会計士協会 副会長(業務基盤強化、社会貢献) 南 成人
日本公認会計士協会 業務本部中小監査事務所グループ事務局 小池 教之
  奧山 美保

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1.はじめに

今般の公認会計士法改正においては、会計監査の信頼性確保の観点から、従来、日本公認会計士協会(以下「協会」という。)の自主規制の下で運用されていた上場会社監査事務所の登録制度の法制化が図られ、また、全ての登録上場会社等監査人に対して、監査法人のガバナンス・コードに沿った業務管理体制の整備が求められることとなった。このように、上場会社の監査を担う監査事務所に対し、より高い規律付けを行うための対応が行われるとともに、改正公認会計士法施行規則(以下「施行規則」という。)第95条においては経営管理の状況等を公表する体制の整備義務が、また、同第96条においては監査法人のガバナンス・コードに沿った体制及びその適用状況を公表するための体制の整備義務が新たに定められた。

上記の状況を踏まえ、協会の中小監査事務所連絡協議会②においては、上場会社の監査を担う中小監査事務所に対し、その経営基盤を強化するために、従来から公認会計士法においてその作成が義務付けられている「説明書類」とは別に、①施行規則第95条の経営管理の状況等を理解するための有用な事項を記載した書類としての「監査品質のマネジメントに関す...