公認会計士法の改正に関連する上場会社等監査人登録制度の導入/品質管理レビュー制度の改正

日本公認会計士協会 副会長(自主規制) 小倉 加奈子
日本公認会計士協会 自主規制本部品質管理グループ事務局 住井 嵩

( 08頁)

1.はじめに

2022年5月11日に、「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」が成立し、5月18日に公布された。

この改正は、会計監査を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、会計監査の信頼性確保や公認会計士の一層の能力発揮・能力向上に資する公認会計士制度を実現することを目的として行われたものである。

このうち、「会計監査の信頼性確保」のための一項目として、上場会社の監査事務所の登録制の法定化が行われることとなった。これは、上場会社監査の担い手の裾野が、近年拡大傾向にあったことが背景にある。

当協会は、法令等の改正の動向を踏まえ、2022年8月から「公認会計士法改正対応プロジェクトチーム」を設置し検討を進め、2022年12月2日に「公認会計士法改正に関連する協会制度変更要綱」を公表した。

当該制度変更要綱を踏まえた会則等の改正案は、2023年1月31日に開催された臨時総会において承認されている。

本稿では、公認会計士法令等の改正の対象となった事項のうち、上場会社等の監査事務所に関する登録制について解説する。

なお、上場会社の監査の登録制に関し、当協会は、2007年度から「上場会社監査事務所...