会計知識録 第28回 海外子会社の内部統制の整備・運用と内部監査のポイント
公認会計士 溝口 聖規
はじめに
前回( No.3599・24頁 )紹介した事例からも分かるように、海外子会社の内部統制はグループ全体における重要な課題です。海外子会社発の内部統制上の不備を原因として、グループ全体の財務報告に関する内部統制が有効でないと評価されたり、中には倒産に至る会社もあります。しかし、海外子会社は地理的にも心理的にも親会社から距離があり、親会社からのモニタリングが十分に効かないケースもあるのではないでしょうか。また、海外子会社では予算や人員が十分でなく、同じ人物が複数の役割を長期にわたり兼務していることがあり、不正等が起こりやすい体質であるとも指摘されます。海外子会社の内部統制の重要性を理解しつつも、こうしたリスクに十分に対応できていない事例も多く見られます。
今回は、海外子会社の内部統制をいかに整備・運用するべきか、また、J-SOXを活用した内部監査のポイントについて筆者の経験も交えて解説したいと思います。
海外子会社の内部統制の難所
親会社は、海外子会社の文化・言語、法律・制度、商慣習などについてどれだけ理解しているでしょうか。仮に親会社と同じ事業であっても、文化や商慣習が異なれば事業を行う人々...
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