新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第10回 複数の会計上の論点において「事業計画」を使用する場合の留意事項

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 秋川 僚平

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昨今の円安の進行、燃料価格・資材価格の高騰、新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響を受けて、業績の悪化している企業が増えているものと考えられます。

こうした背景の中で、固定資産の減損、有価証券(子会社株式等)の減損、繰延税金資産の回収可能性、継続企業の前提といった複数の会計上の論点について、より慎重な検討が求められています。

本稿では、これらの論点の検討において使用される「事業計画」にフォーカスして、実務上の留意事項を解説します。

なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q

業績悪化時に想定される会計上の論点について、教えてください。また、複数の論点を同時並行で検討することになると思いますが、その際に留意すべき事項についても教えてください。

A

業績悪化時に想定される主な会計上の論点は以下のとおりです(【図表1】参照)。

【図表1】業績悪化時に想定される主な会計上の論点

論点事例固定資産の減損外食産業を営んでいる企業において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、前期に営業赤字に転落していた。当期、全社的な業績は回...