<2023年3月期決算>記述情報の好開示のポイント(前編)

金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 鹿子木慎亮
 企業会計専門官 清野 恭平
 係長 澤村 泰行

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1.はじめに

企業情報の開示は、投資家の投資判断に必要な情報を提供することを通じて、資本市場における効率的な資源配分を実現するための基本的なインフラであり、投資判断に必要とされる情報を十分かつ正確に、また適時に分かりやすく提供することが求められます。

金融庁では、ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けた企業の取組みを促すため、「記述情報の開示に関する原則」を公表するとともに、開示の好事例を浸透させるため、「記述情報の開示の好事例集」の公表・更新を行っています。

2023年3月に最終更新した「記述情報の開示の好事例集2022」(以下、好事例集という)では、同年1月31日に公布・施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(以下、開示府令という)を踏まえ、同年3月31日以後に終了する事業年度の有価証券報告書から新たに求められる開示項目の参考となる開示例も掲載しています。

本稿では、開示府令で新たに求められる開示項目の参考となる開示例を含め、好事例集の内容を紹介しつつ、2023年3月期以降における記述情報の好開示の...