財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部改正の概要
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 鳥屋尾 大介
一.はじめに
令和5年3月27日に「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和5年内閣府令第21号。以下「改正府令」という。)」が公布され、監査報告書の記載事項に報酬関連事項が追加された ① 。
本稿では、改正後の財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(昭和32年大蔵省令第12号。以下「監査証明府令」という。)の概要について解説する。なお、本文中、意見にわたる部分は、筆者の個人的見解である。
二.改正の経緯
令和4年7月25日に日本公認会計士協会(以下「協会」という。)の「倫理規則」が改正され、監査業務の依頼人が「社会的影響度の高い事業体」である場合にあっては、
・当該依頼人に対する報酬依存度が2年連続して15%を超える場合又はその可能性が高い場合、監査意見表明前のレビューを行うこと
・当該依頼人に対する報酬依存度が5年連続して15%を超える場合又はその可能性が高い状況が継続する場合、5年目の監査意見の表明後に監査人を辞任しなければならないこと
等を内容とする報酬依存度規制が導入された ② 。
また、これに併せ、監査業務の依頼人が「社会的影響度の高い事業体」である場...
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