「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請等について

東京証券取引所 上場部企画グループ統括課長 池田 直隆

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1.背景

株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)では、昨年4月に実施した市場区分の見直しの実効性向上に向けて、「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(以下「フォローアップ会議」という。)を設置し、議論を進めている。

本年1月30日には、フォローアップ会議において論点整理を行い、上場維持基準に関する経過措置の取扱いを定めるとともに、上場維持基準への抵触の懸念のない上場会社に対しても、中長期的な企業価値向上に向けた自律的な取組みの動機付けとなる枠組みづくりを迅速に進めていくべく、その対応方針(以下「対応方針」という。)を公表した

そのうえで、本年3月31日には、対応方針に掲げる取組みのうち、本年春を目途に実施することとしていた、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(プライム市場/スタンダード市場向け)、「株主との対話の推進と開示」(プライム市場向け)、「建設的な対話に資する『エクスプレイン』のポイント・事例」に関して、具体的な内容を要請事項として取りまとめ、上場会社に通知している

本稿では、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を中心に、これら...