ミニファイル 賃上げと退職給付

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政府が人への投資を重点政策とする中、2023年の春闘では多くの企業が賃上げを行ったようだ。日本労働組合総連合会によると、定期昇給相当込みの賃上げ率は4月11日時点で3.69%(前年比1.58ポイント増)と30年ぶりの高水準となった。

この賃上げは今後も続くのか。退職給付の基礎となる給与体系の変更であれば退職給付債務などへの影響も気になる。退職給付債務を計算する上で必要となる退職給付見込額は、「合理的に見込まれる退職給付の変動要因」を考慮して見積るとされている。その変動要因には、「予想される昇給等」が含まれる。

予想昇給率は、個別企業における給与規程、平均給与の実態分布および過去の昇給実績等に基づき...