監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)の改訂
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 小作 恵右
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 松井 都志子
金融庁 企画市場局 企業開示課 係長 山本 実和
一.はじめに
令和5年3月24日、金融庁に設置された「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会(座長・八田進二青山学院大学名誉教授。以下「有識者検討会」という。)において取りまとめられた、「監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)」の改訂版(以下「改訂版コード」という。)が公表された ① 。平成29年3月に監査法人のガバナンス・コード(以下「コード」という。)が策定された後、初めての改訂となる。
上場企業等の監査を担う監査法人はもちろんのこと、被監査会社、株主及び資本市場の参加者等において、今般の改訂(以下「本改訂」という。)についての理解が深まり、各監査法人の創意工夫により実効的な組織運営の実現に向けた改革が強力に進められていくことが重要である。
こうした観点から、本稿では、本改訂の経緯、内容及び当局における監査法人の取組みの実効性を確保するための対応等について解説する。なお、意見にわたる部分は、筆者らの個人的見解である。
二.本改訂の経緯
コードは、大手上場企業等の監査を担う監査法人における組織的な運営を確保するとともに、監査法人の経営陣によるマネジメント改革の...
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