実務対応報告第44号「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い」の概要

企業会計基準委員会 専門研究員 加藤 紘司

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1.はじめに

企業会計基準委員会は、2023年3月31日に、実務対応報告第44号「 グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い 」(以下「本実務対応報告」という。)を公表 した。本稿では、本実務対応報告の概要を紹介する。なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であり、企業会計基準委員会の見解を示すものではないことをあらかじめ申し添える。

2.本実務対応報告公表の経緯

令和5年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税に対応する法人税が創設され、それに係る規定(以下「グローバル・ミニマム課税制度」という。)を含めた税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第3号))(以下「改正法人税法」という。)が2023年3月28日に成立している(以下、改正法人税法が成立した2023年3月28日を「改正法人税法の成立日」という。)。これにより、グローバル・ミニマム課税制度の施行日以後においてその適用が見込まれる企業は、改正法人税法の成立日以後に終了する連結会計年度及び事業年度の決算(四半期連結決算及び四半期決算を含む。)において、グローバル・ミ...