経理部 進化論 第8回 投資判断にリスクと不確実性をいかに反映させるか?

~FP&Aという選択肢

グロービス経営大学院  鷲巣 大輔

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近年、ファイナンス人材のキャリア候補としてFP&A(Financial Planning & Analysis)に注目が集まっています。従来の経理や財務の役割を大きく超え、より経営の意思決定を支える上で重要な役割を果たすFP&Aというポジションについて、様々な企業でCFO/FP&A責任者を歴任してきたグロービス経営大学院の鷲巣大輔が詳しく語ります。

第8回では、投資判断に「リスク」と「不確実性」をいかに反映させるかについて、議論を展開していきたいと思います。

先行きが不透明な将来だからこそ計画が意味を持つ

FP&Aの一つの役割は、ある案件に投資をすべきかどうか財務的な分析に基づいた判断材料を意思決定権者に提示し、一緒に議論を進めながら、最終的な投資判断を下す事です。

最も一般的なのは、DCF(Discounted Cash Flow)法により投資案件のフリーキャッシュフロー予測を立て、事業リスクを定量的に反映させたハードルレート(最低限必要とされる利回り)を用いてNPV(正味現在価値)・IRR(内部収益率)を算出し、NPVがゼロ以上、IRRがハードルレート以上であれば、その投資案件に対してGo...