小説 会計士日記 episode 11

  中岡早雄

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20X1年5月28日 AM 8:03一息つく朝

カーテンの隙間から射し込む太陽の光を感じて自然と目が覚めた。スマホを取ろうと右手を伸ばして枕もとを探したが、見つからない。昨夜帰宅してベッドの上に投げてから一度も触っていなかったことを思い出した。上半身を起こし、部屋の中を見ると、床にスマホがあるのに気付いた。寝ているうちにベッドから落ちたのだろう。

ベッドから出てスマホを拾い上げた。時間は8時を少し回ったところだった。いつもより1時間くらい遅く目が覚めて一瞬焦ったが、まだ時間はあるのでいつものカフェに行こうと、床に脱ぎ捨てられていたジーパンとパーカーに着替えた。

マンションを出ると日々気温が上がっている感じがして夏が近づいているんだなぁと思った。最近は秋冬用のパーカーではなく夏用の薄手のパーカーを着ている。ゆっくりと歩いていると、通勤と通学で足早に駅に向かう人たちに次々と抜かされていく。みんな歩くのが早いと思いながらも、自分はマイペースにダラダラと歩いてカフェに着いた。


コーヒーを受け取り席につくと8時23分だった。20分くらいしか時間がないので、本は読まずにのんびりすることにした。コーヒーを一...