有価証券報告書に追加される「サステナビリティに関する考え方及び取組」に対するXBRLタグ付けについて

有限責任あずさ監査法人 公認会計士 筏井 大祐

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1.はじめに

企業活動が地球環境に与える影響は、以前から大きな問題として捉えられてきたが、その影響を把握し開示につなげるためのサステナビリティ開示の基準は複数が乱立し、また主として任意開示で行われていた。このため、報告書の内容や報告書の名称、発行のタイミングも揃っておらず、サステナビリティ情報の企業間比較が難しいという課題があった。しかし、近年は金融業界を中心として気候変動による企業活動の影響を評価しようという気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言が公表されたことを契機に、企業間比較を可能にする統一的なサステナビリティ開示基準の必要性が高まっている。そのような中でIFRS財団は2021年3月に国際的に統一されたサステナビリティ開示基準を策定する方針を示し、その基準設定主体として国際サステナビリティ基準審議会(以下、ISSBという。)を設立した。ISSBは、現在、IFRSRサステナビリティ開示基準の最終化に向けた取り組みを続けている。

このような国際的な動向を踏まえて、我が国でも、金融庁に設置された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループは2022年6月にサステナビリテ...