「役員報酬の手引き」(2023年3月時点版)~改訂のポイント

経済産業省 産業組織課 課長補佐 善本 聡

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一 「役員報酬の手引き」改訂の背景

経済産業省は、昨年7月に改訂を行った「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(以下「CGSガイドライン」という。) の内容を踏まえ、2023年3月に『「攻めの経営」を促す役員報酬‐企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引‐』(以下「役員報酬の手引き」という。) を改訂し、公表した。

この手引きは、役員報酬に関連するコーポレートガバナンス強化に向けたこれまでの動きや現状について整理したうえで、株式報酬や業績連動報酬を導入・運営する際に関係する税務、会社法、会計上の論点等に関するQ&Aを示している。また、実際に導入しようとする企業の参考に供するため、株主総会報酬議案、譲渡制限付株式割当契約書、株式報酬規程等について、具体的な例を掲載している。

昨年7月のCGSガイドラインの改訂では、ガバナンス・システムの改善を通じて企業価値を高めるためには、監督側だけでなく、執行側と監督側の双方の機能強化を相乗的に推し進めていくことが必要であるという基本的な考え方に立ち、具体的な行動の指針を示している(図表1)。

【図表1】CGSガイドライン(昨年7...