[連載対談]キーパーソンに訊く重要テーマ 第2回 「市場区分の見直し」

東京証券取引所 取締役 常務執行役員 青 克美
青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科教授 町田 祥弘

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Ⅰ. ここが訊きたい

2022年4月4日、東京証券取引所(東証)において市場区分の見直しが実施された。そこでは、市場をグローバル企業向けのプライム市場、中堅企業向けのスタンダード市場、新興企業向けのグロース市場の3市場に再編した。

これは、2013年1月にいわゆる東証と大阪証券取引所との経営統合を契機とした株式市場の再編の議論に対応するものであった。統合した取引所がマザーズとJASDAQという2つの新興市場を有すること、東証二部市場の位置づけが不分明であること、及び最上位の東証一部が全上場会社の6割に及ぶ約2,200社もの上場会社を抱えており、中には上場後に業績が停滞したり流動性不足に陥ったりする企業も含まれていること等によるものである。

東証では、2019年3月に3市場への再編案を公表し、その後金融庁の金融審議会がそれを引き継いで2020年2月に同総会において再編案を含む報告書を承認・公表した。プライム市場に関しては、流通時価総額100億円を基準とする上場基準を設けるとともに、東証一部の全銘柄を対象とする東証株価指数(TOPIX)を市場区分と切り分け、銘柄を絞り込んだ新指数を作ることとされ...