Q&Aコーナー 気になる論点(340) リース会計基準案(4)

‐セール・アンド・リースバック取引‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 企業会計基準委員会(ASBJ)が、2023年5月2日に公表した企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」(リース会計基準案)及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(リース適用指針案)では、セール・アンド・リースバック取引における売手/借手の会計処理について、IFRS第16号「リース」と同様の取扱いを提案しているのでしょうか。

いいえ。リース適用指針案では、IFRS第16号と異なり、資産の売却処理の考え方について、支配アプローチだけではなくリスク経済価値アプローチも加えること、さらに会計処理方法としては、分解アプローチではなく一括アプローチを提案しています。

〈解説〉

セール&リースバック取引の売手/借手の処理(1)‐現行

現行の企業会計基準適用指針第16号「 リース取引に関する会計基準の適用指針 」において、セール・アンド・リースバック取引(所有する物件を貸手に売却し、貸手から当該物件のリースを受ける取引)のリースバック取引がファイナンス・リース(FL)取引に該当する場合、売手/借手は、以下のように会計処理します。

(1)セール取引...