小説 会計士日記 episode 13

  中岡早雄

( 40頁)

20X1年5月28日 PM 8:22仕事は暇つぶし?

今日はそんなに忙しくないと思い次郎さんの店で昼ビーして、午後は昼寝でもしようかなと思っていたが、メール対応や新規の仕事の提案書を作っているうちに辺りが暗くなっているのに気づいた。スマホを見ると20時22分だった。いつもの店に行こうかなと電話しようと思ったが、金曜日の夜で混んでいるかもしれないし、電話をして満席で断られると意味不明に凹むので、海老塚さんの研修の資料を作ることにした。自分の人生は、仕事をするかビールを飲むかの2択だ。単純明快でいい。

海老塚さんは、会計事務所を辞めてKMFに来る。KMFのメンバーは、事務をしてくれている上野さん以外はみんな会計士、と言っても3人しかいない。大きな仕事が来た時や人手が足りない時は知り合いの会計士に手伝ってもらっている。会計士も一括りにできず、歩んできたキャリアでどういう仕事ができるかが変わってくる。うちの仕事を手伝ってくれる会計士は、監査法人や監査法人系のアドバイザリー会社での経験がある人ばかりだ。やはり財務DDや株価算定などは、経験がないと会計士であっても仕事を依頼することが厳しいくらいだか...