新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第13回 通算グループへの加入に伴う税務上の時価評価に関して会計上留意すべき点

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 勝宮 裕樹

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2020年3月27日に成立した「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において、連結納税制度はグループ通算制度へ移行することとされ、2022年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。グループ通算制度は、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、その中で損益通算等の調整を行う制度です。グループ通算制度を適用する場合における法人税及び地方法人税並びに税効果会計の会計処理及び開示の取扱いについては、2021年8月12日に企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」という。)より公表された、実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下、「実務対応報告第42号」という。)にて定められています。グループ通算制度を適用する場合、実務対応報告第42号にて定められているものをはじめ、多数の留意すべき点がありますが、本稿ではこれらのうち、通算グループへの加入に伴う税務上の時価評価に関して会計上留意すべき点を解説します。なお、本稿はあくまで税務規定を踏まえた会計処理の解説を目的と...