ハーフタイム AIが経理マンのベストフレンドになるとき

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画像処理ユニット(GPU)による深層学習を発展させた生成人工知能(AI)の進化が目ざましい。大量のデータから規則性を見出し「大規模言語モデル」によって滑らかな言葉で質問に答えてくれる。だが凡庸な質問には凡庸な答えしか返ってこない。若干突っ込んだ質問をするとそれ相応の答えが返ってくる。これを以て「対話型」だともてはやす人もいるが、人が主体的に使いこなさなければ、価値ある情報を提供しないのがいまのAIである。

では、今後どうなるであろうか。あるAI楽観論者(産業革命論者を含む)は、五感を備えたAIが現れ、人間の能力を超える日が来るという。百科事典的知識だけでなく、医学や法律・会計等の専門知識を学習させれば、その分野の業務生産性も格段に上がり、125の専門職のうち95(75%)の業務はAIで代替できると予測する。だが、こうした期待はあとで述べるように「人工と自然の根本的違い」を軽視していると思う。その場合、AIの判断結果を鵜呑みにすることなく、倫理感や社会的責任をもって批判的に受け止める企業人が周囲にいなければ、期待は単なる画餅となり、企業の持続可能性を危うくするリスクが高まる。

楽観論とは真逆...