Q&Aコーナー 気になる論点(342) リース会計基準案(6)

‐貸手の会計処理‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 企業会計基準委員会(ASBJ)が、2023年5月に公表した企業会計基準公開草案第73号「リースに関する会計基準(案)」(リース会計基準案)及び企業会計基準適用指針公開草案第73号「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(リース適用指針案)では、貸手の会計処理を変更していないのでしょうか。

リース会計基準案及びリース適用指針案では、企業会計基準第29号 「収益認識に関する会計基準」 (収益認識会計基準)により、割賦基準による収益認識は認められないこととなっているため、貸手のファイナンス・リース(FL)において割賦基準の処理を想定した会計処理を認めないように変更を提案していますが、それ以外には、変更しないことを提案しています。

〈解説〉

ファイナンス・リースにおける貸手の会計処理(1)‐現行

現行の企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」では、FL取引において、貸手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理することとし(13項)、さらに企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」51項及び61項では、FL取引の会計処理について、[図表1]のように、以下の3つ...