新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第14回 非上場会社が発行する新株予約権の取得者側の会計処理

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 内田 則一

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上場前のスタートアップ企業における資金調達手段として、近年、J-KISS(Keep It Simple Securityの日本版)などの新株予約権が用いられるケースが増加しています

この非上場会社の発行する新株予約権を取得する場合において、転換後の非上場株式では取得原価で評価される一方、転換前の新株予約権は時価評価が必要となりますが、このように転換前と転換後で異なっているにもかかわらず、転換後の株式が取得原価で評価されるため、転換前の新株予約権も取得原価で評価するとの誤解が生じやすいと考えられます。そこで、新株予約権の取得者側の会計処理にフォーカスして、実務上の留意事項を解説します。

なお、本稿中の意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことを予め申し上げます。

Q1

非上場会社が発行する新株予約権の取得者側の会計処理について教えてください。

A1

(1)取得時の会計処理

新株予約権証券は金融商品取引法上の有価証券に該当し、新株予約権を取得したときは、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)及び会計制度委...