Q&Aコーナー 気になる論点(345) IASBの適用後レビューにおける情報要請(2)

‐収益認識‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

( 48頁)

 国際会計基準審議会(IASB)は、2023年6月に、情報要請「適用後レビュー:IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(コメント期限:2023年10月27日)を公表しています。適用後レビューにより修正された場合、コンバージェンスされていた米国会計基準(Topic 606)との差異が生じることにならないのでしょうか。

IFRS第15号の適用後レビューの結果、何らか対応する際には、Topic 606との間のコンバージェンスに影響します。この検討の一環として、情報要請では、現在のレベルのコンバージェンスを維持することがどのくらい重要かに関して、コメントを求めています。

〈解説〉

IFRS第15号に関する情報要請(1)‐全般

2023年6月公表の情報要請において、IFRS第15号は、米国財務会計基準審議会(FASB)と共同で、顧客との契約から生じる収益の会計処理を改善するために開発され、その改善には、収益の認識、測定及び開示に関しての包括的で堅牢な枠組みの下、以下が含まれているとしています(4頁)。

(1)企業間、業種間、法域間及び資本市場間での収益認識の比較可能性の改善

(2)新たに生じる論...