小説 会計士日記 episode 18

  中岡早雄

( 40頁)

20X1年7月2日 AM 8:03こんな1日

今日の店員は伊藤さんと吉井さんか。駅のカフェにはここ2年くらいほぼ毎朝コーヒーを飲みに来ているので店員の名前を覚えてしまった。店員も自分のことを覚えてくれているようで、人によっては注文する前にブレンドコーヒーのMサイズを作り始めている。一度紅茶にしてみたら想定外だったようで「いつものを作り始めちゃったよ」という顔をされた。以来、毎回同じものを頼むようにしている。

事務所の鈴木さんに店員の名前と顔を覚えてしまい、朝のシフトに入っている人の名前を7~8人挙げたらドン引きされ、危ない人だと思われるから他の人には話さない方がいいと言われた。確かに、自分が逆の立場なら気持ち悪い感じがしないでもないが、店員に話しかけるわけでもないし別にいいかなと思っている。そもそも、暇つぶしと記憶力の向上のために名前を覚えようとしただけなので。でも、記憶力の向上になるのかは定かでないが。コーヒーを受け取ってから席で何気なくレシートを見ると8:03と記載されていた。

スマホでスケジュールを確認すると、富田さんが11時頃に事務所に来ること以外は特に予定が入っていなかった。今日は...