IFRSをめぐる動向 第156回 「企業結合‐開示、のれん及び減損」プロジェクトの最近の動向(2023年1月~9月IASB会議での再審議)

PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 松田由貴

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1.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は、2020年3月に公表されたディスカッション・ペーパー(DP)「企業結合-開示、のれん及び減損」に関する、2023年1月以降のIASBの再審議の状況について説明します。DPの公表経緯及び2022年12月までの再審議の状況については、本連載の第136回(No.3529)、第143回(No.3560)、第146回(No.3576)及び第150回(No.3594)の解説をご参照ください。なお、2022年12月のIASB会議において本プロジェクトの名称が「のれんと減損」から「企業結合‐開示、のれん及び減損」に変更されたことに伴い、本連載におけるタイトルのプロジェクト名も変更しています。

本稿の内容は今後のIASBの審議状況によって変更される可能性があり、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

2.IASB会議の状況

2023年1月から9月のIASB会議において、IASBは、主に企業結合の開示と減損テストの改善に関...