IFRS予想信用損失(ECL)モデルの導入が邦銀の償却・引当実務に与える影響(後)

株式会社三井住友銀行 財務企画部 副部長 黒田 康平
株式会社三井住友銀行 財務企画部 上席推進役 渡辺 真一郎

( 14頁)

前回( No.3628・12頁 )は、償却・引当に関する予想信用損失(以下、「ECL(Expected Credit Loss)」という)モデルの概要と導入影響に加えて、ECLモデルの具体的な測定方法や将来予測情報の織り込み方法について解説を行った。今回は、個別論点ではあるものの、導入に当たって、現在の日本基準と基準差異が大きく、検討に時間を要するものの解説を行っていく。その後、現在の日本基準の開発の方向性などにも可能な範囲で触れておきたい。

内容
前回 1.ECLモデルの概要
2.導入影響の概要
 (1)財務影響
 (2)与信管理実務への影響
3.ECLモデルの測定方法
 (1)引当対象債権
 (2)債務不履行(デフォルト)の定義
 (3)ステージ判定
 (4)引当額の算出方法
4.将来予測情報の織り込み方法
 (1)マクロ経済予測に基づいたモデル
 (2)マネジメント・オーバーレイ
今回 5.個別論点
 (1)償却原価及び手数料の繰延処理
 (2)金融保証の保証料の取扱い
 (3)直接償却
 (4)条件変更及び認識の中止
 (5)購入又は組成した信用減損金融資産
 (6)開示
6.新しい日本基準開発上の固有の論点
7.終わりに

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