役員の報酬・賞与・慰労金の基本と実務Q&A<216> 慰労金議案を付議すべきか否か(1)

 弁護士 小林公明

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来る定時株主総会終結の時をもって退任予定の代表取締役社長(定款の定めにより株主総会議長にして取締役会議長)に対する慰労金議案を当該定時株主総会に付議するかについては、減額不支給条項を有する慰労金内規はあるものの、当該退任予定取締役の在任中の問題行動が指摘されていることもあって、取締役間の意見が分かれている。

会社が当該議案を株主総会に付議するかを決する上で注意すべき点は何か。

1 結論

会社は、当該退任予定取締役(以下「退任取締役」)の問題行動の有無及びその内容並びに内規所定の減額不支給条項該当性についての調査を先行し、取締役会でその調査結果を踏まえ、株主総会(以下「総会」)に慰労金議案を付議するか否か及びその内容を決すべきである。

2 退任取締役は、会社に対し内規に基づき直接慰労金を請求できるか

前提として、退任後の当該取締役との関係で、会社又は在任取締役がどのような立場に置かれるかを見てみる。

まず、退任取締役は、会社に対し内規に基づき直接慰労金を請求できるかについては、以下のとおりである(以下定款による報酬等の定めの関係は略)。

1 内規のみに基づく請求の可否役員の慰労金は,「その在職中に...