新春特別寄稿 ディスクロージャー・企業会計をめぐる最近の動向

金融庁 企画市場局 企業開示課長 野崎 彰

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一.はじめに

本稿では、金融庁の企業開示行政に係る最近の動向を紹介する。

コーポレートガバナンス改革については、2024年6月に「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024(以下「アクション・プログラム2024」という)」を公表し、掲げられた施策を順次進めている。

サステナビリティ開示・保証については、金融審議会に「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(以下「SWG」という)」を設置し、2024年3月から議論を進めている。また、サステナビリティ情報に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集」の公表を順次進めている。

このほか、スタートアップ等への資金供給や投資家のリスク負担能力に応じた多様な投資商品の提供を促進するため、2024年11月に「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等の改正案をパブリックコメントに付す等の対応を進めている。

本稿では、こうした2024年1年間の企業開示行政をめぐる動きを振り返るとともに、2025年の展望をご紹介したい。

二.公開買付制度及び大量保有報告制度に係る金融商品取引法等の改正...