Q&Aコーナー 気になる論点(379) IASBの引当金に関する公開草案(1)
早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一
Q 国際会計基準審議会(IASB)は、2024年11月に、公開草案「引当金‐的を絞った改善:IAS第37号の改正案」(コメント期限:2025年3月12日)を公表しました。改正案では、2018年3月改正の「財務報告に関する概念フレームワーク」(IASB概念フレームワーク)と整合させるように、負債の定義や認識基準を見直し、その結果、修繕引当金の計上を提案しているのでしょうか。 |
A
いいえ。改正案では、現在のIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」と同様に、修繕引当金の計上を提案していません。ただし、現在のIAS第37号では、修繕が法律上の要請であっても、企業は、将来の行動(例えば、売却)によって将来の修繕支出を回避できるため負債の定義をみたさないとしていましたが、改正案では、修繕義務は、経済的資源の交換義務であり引渡義務ではないため負債の定義をみたさず、引当金を計上しないことを提案しています。
〈解説〉
改正案(1)‐概要
改正案によれば、IASBは、2020年にIAS第37号に対して以下の3つの的を絞った改善を行うことを目的として、作業計画に基準設定プロジェクトを追加したとしています(BC1...
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