有価証券報告書の株主総会前開示を行う際の留意点
日本公認会計士協会 常務理事 小島 亘司
1.本稿の目的
2025年3月28日付けで、加藤金融担当大臣から全上場企業の代表者宛に、「株主総会前の適切な情報提供について(要請)」(以下、「要請」)が発出された。当要請は、「有価証券報告書の提出は、本来、株主総会の3週間以上前に行うことが最も望ましい」との考えを示した上で、「多くの上場会社がただちにこうした対応を行うことには実務上の課題も存在する」ことを考慮し、「第一歩として、今年から、まずは有価証券報告書を株主総会の前日ないし数日前に提出することをご検討いただくようお願いいたします」としている。
日本公認会計士協会(以下「当協会」)では、今後、サステナビリティ情報の開示が拡充される環境の下、①有価証券報告書の作成・開示負担の軽減、②監査・保証品質の更なる確保、③株主・投資家による十分な検討期間の確保という3点を達成するためには、株主総会の後倒しと開示書類の一体化・一本化を行っていくことが必要と考えているが、今回の要請が、その「第一歩」であることに賛同し、「上場会社等監査事務所は、十分な監査期間が確保されることを前提に、上場企業の検討に協力するよう期待します」という会長声明を発出した。...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 お試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします