有価証券報告書 作成上の留意点(2025年3月期提出用)
企業会計基準委員会 専門研究員 中西 美樹
Ⅰ.はじめに
本稿は、2025年3月期の有価証券報告書における作成上の留意点についてまとめたものであり、「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「開示府令」という。)の改正に伴う留意点、企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)から改正・公表された企業会計基準等に関する留意点を中心に解説する。
なお、文中において意見にわたる部分は私見であることをあらかじめ申し添えておく。
Ⅱ.開示府令の改正を踏まえた有報の開示に係る留意点
(1)概要
2022年6月に公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」において、個別分野における「重要な契約」について、開示すべき契約の類型や求められる開示内容を具体的に明らかにすることで、適切な開示を促すことが考えられるとされたことを踏まえ、2023年12月22日に開示府令が改正された。
また、2025年1月31日に政策保有株式の開示関係について、2025年2月21日にはスタートアップへの資金供給の促進関係についても開示府令が改正された。
(2)重要な契約等
開示府令の改正により、2025年3月期より「重要な契約等」として「企業・株主間のガバナンス...
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