<INTERVIEW>中村直人弁護士に聞く! 令和7年株主総会の留意点

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株主総会をめぐる環境が大きく変化している昨今。本年の総会では、情報提供に対する工夫や、有価証券報告書の総会前開示への対応などに注目が集まりそうだ。準備のポイントや近年の質問傾向などを、企業法務の第一人者・中村直人弁護士に聞いた。

――本年の株主総会において留意すべきことを教えて下さい。

まず、全体的な傾向として、昨年の株主総会では出席株主数や所要時間がやや増加しました。背景には、新NISAの開始や株式の投資単位の引き下げといった政策的要因があり、個人株主の増加が見て取れます。今年も同様の傾向が継続すると見込まれます。また、今年の株主総会では、新型コロナウイルスの影響はほぼ払拭されており、個人株主も含め、株主が何を知りたいのかに焦点を当てた、より良質なコミュニケーションが一層求められます。単なる儀礼的な説明に終始するのではなく、株主との真の対話の場とする意識が重要です。

――情報提供のあり方も変化しているのでしょうか。

株主総会終了後、報告事項などの動画を自社サイトで公開する企業が増え、現在では上場企業の2割程度が取り組んでいます。これは、総会当日に出席できなかった株主にとって重要な情報源となり...