Q&Aコーナー 気になる論点(390) IASBにおける持分法の検討

‐公開草案に対するコメント‐

早稲田大学 大学院会計研究科 教授 秋葉 賢一

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 国際会計基準審議会(IASB)が2024年9月に公表した公開草案「持分法会計:IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」(202x年改訂)」では、関連会社及び共同支配企業との取引から生じる利得・損失を全額認識することを提案していました。この提案に対して反対するコメントは、多いのでしょうか。

わが国の関係者は、当該提案が、持分法を一行連結ではなく測定基礎として考えているため、抜本的な見直しを行わないこととしている方針とは異なることなどから反対しています。しかし、2025年5月開催のIASB会議では、欧州をはじめとした関係者からのほぼすべてのコメントは、賛成しているとしています。

〈解説〉

関連会社との取引から生じる利得・損失(1)‐公開草案の提案

2024年9月公表の公開草案において、IASBは、このプロジェクトにおいて、持分法を引き続き使用すべきかどうかなどの抜本的な見直しを行わないこととしていました(BC5項)。また、公開草案では、適用上の課題に対応するものであるため、ディスカッション・ペーパーを公表せず、また、その範囲には、持分法が一行連結か測定方法かなどは含まれていない...