2025年3月期に係る総会前開示の状況と今後の金融庁の取組
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 小林 法之
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 金子 慧史
前金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 清野 恭平
前金融庁 企画市場局 企業開示課 係長 三木 俊人
金融庁 企画市場局 企業開示課 係員 中村 拓巳
Ⅰ.はじめに
企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、形式的な対応にとどまらない、企業と投資家の双方の取組におけるコーポレートガバナンス改革の実質化が重要であると考えられる。
有価証券報告書については、近年、コーポレートガバナンスの観点等から、投資判断に必要な情報の拡充が図られてきており ① 、足元では、サステナビリティ開示基準に基づく開示及び保証の導入も検討されている。このような記載事項の拡充により、投資家の意思決定のための有価証券報告書の重要性は増しているところ、企業と投資家の建設的な対話のさらなる充実のため、有価証券報告書による情報開示が定時株主総会前に開示される必要性も高まっている ② 。
こうした点を踏まえ、2024年12月に設置した「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会」(以下「連絡協議会」という。)において、総会前開示に係る課題及び具体的な施策について実務的な検討を行うとともに、本年3月には、加藤金融担当大臣より全上場会社に対して「株主総会前の適切な情報提供について(要請)」(以下「大臣要請」という。)を発出した。
本稿では、大臣要請を受けた...
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