ISA570「継続企業」の改訂と影響
有限責任監査法人トーマツ 鎌田 理恵
Ⅰ.はじめに
2025年4月に、国際監査・保証基準審議会(International Auditing and Assurance Standards Board:IAASB)は、国際監査基準(ISA)570(2024年改訂)「継続企業」(原題:International Standard on Auditing 570(Revised 2024), Going Concern)を公表した。本稿では、その主な内容について解説する。なお、文中の意見にわたる部分は、筆者の私見であり、筆者の所属する法人の見解ではないことをあらかじめお断りする。
Ⅱ.改訂の背景及び概要について
世界各地で生じた企業倒産及び不祥事の発生や、戦争・パンデミックにより生じたリスクの高まりにより、継続企業の前提に関する経営者の評価や監査人の責任に関連した課題に人々の関心が高まった。また、グローバルにおける経済環境の不確実性が継続していることにより、継続企業の前提に関する監査基準強化の声が高まったことを背景に、IAASBは2022年3月にISA570の改訂プロジェクトを開始し、今回の公表に至った。
ISA570の改訂(強化・明...
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