新リースの会計と税務の詳細解説 第7回 借手の会計処理⑤セール・アンド・リースバック取引

‐会計と税務の両面から考察‐

 公認会計士・税理士 太田 達也

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Ⅳ 借手の会計処理(つづき)

10.セール・アンド・リースバック取引

(1)セール・アンド・リースバック取引の定義

会計基準等では、「セール・アンド・リースバック取引」について、売手である借手が資産を買手である貸手に譲渡し、売手である借手が買手である貸手から当該資産をリース(以下、「リースバック」という)する取引と定義している(図表33)。

【図表33】セール・アンド・リースバック取引の定義

この定義においては、譲渡された資産とリースされた資産が同一であることが重要なポイントである。

売手である借手が、買手である貸手に譲渡された資産から生じる経済的利益を引き続き享受している経済実態になる。

(2)セール・アンド・リースバック取引に該当しない取引

①一定の期間にわたり充足される履行義務の充足によって行われる取引

会計基準等では、セール・アンド・リースバック取引に該当するか否かを検討する対象となる資産の譲渡とリースバックにおいて、売手である借手による資産の譲渡が次のいずれかである取引については、セール・アンド・リースバック取引として取り扱わないこととされた( 適用指針53項 )。

・収益認識会計基準に従い一定の期...